2015年11月、安倍首相が「早ければ3年以内に小型無人機(ドローン)を使った荷物配送を可能にする」と発した言葉を皮切りに、さまざまな産業でドローン活用への関心が一気に高まりました。そして2017年5月、「空の産業革命に向けたロードマップ」が作成され、法整備の充実とともにドローンのビジネス利用が本格化しました。これまでに整備されたガイドラインや法令改正を振り返りながら、ドローン活用の将来を展望しましょう。

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「ドローンで配送を」からスタートした空の革命

「未来投資に向けた官民対話(第2回)」(平成27年11月5日)における安倍総理の宣言以来、我が国におけるドローンの産業利用の基盤整備は急速に進んでいます。

この間、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(平成27年 4月24日)、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(平成27年12月 7日)、小型無人機の更なる安全確保のための制度設計に関する分科会(平成28年 1月 5日) が矢継ぎ早に立ち上げられ、ドローンのビジネス化の指針となる「空の産業革命に向けたロードマップ~小型無人機の安全な利活用のための技術開発と環境整備~」(平成29年5月19日)が小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会の決定として発表されました。

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ビジネス利用を可能にした法整備

まず、2015年の航空法の改正でドローンの位置付けが明確となり、安心して商業利用できる下地が整いました。機体重量200g以上の無人航空機は、規制下に置かれ、飛行方法、飛行禁止エリアが明確となりました。同時に、認可を受ければ夜間飛行や人口密集地などの飛行が可能となる制度が整えられました。

つまり、ドローンを利用したいエリアで飛行可能かどうか、安全に飛ばすためにどこでどのような許可を取れば良いのかなど、すぐに対処できるようになったわけです。地方航空局や空港事務所への許可申請は、2018年4月2日からオンライン申請が「ドローン情報基盤システム(DIPS)」からオンライン申請が可能になりました。

また、2019年7月24日からは「飛行情報共有システム (FISS)」へ飛行計画の事前登録が一部義務化されました。このシステムは、航空機・他の無人航空機との接触回避を図ることが目的で、ドローン配送などの長距離自律飛行を実現への法整備が本格的に始まったといえるでしょう。

条件が異なる過疎地で始まったドローン配送実証実験

「空の産業革命に向けたロードマップ」は、小型無人機の飛行レベルをレベル1「目視内での操縦飛行 」、レベル2「目視内飛行(操縦なし)」、レベル3「無人地帯での目視外飛行(補助者の配置なし)」、レベル4「有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)」 と定義しています。2020年代前半からは、レベル4の飛行による本格的な活用を目指しています。

その前段階として、2018年9月、過疎地域での目視外飛行に関する規制が緩和され、空の産業革命はレベル3に到達しました。国土交通省は、同年度に全国5地域(①長野県白馬村・山間部における荷物輸送 ②福島県南相馬市、浪江町・ 郵便局間の荷物輸送 ③福岡県福岡市・離島への海上空輸④岡山県和気町・過疎地での空輸 ⑤埼玉県秩父市・ドローンハイウエイ活用)を選定し、検証実験が実施されました。

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見上げればドローンが日常風景に

見上げればドローン

レベル4は、人口密集地である都市部上空を目視外飛行させるものです。それだけに衝突や墜落の危険を回避する安全対策が重要で、国立研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)をはじめとした機関で研究開発が進んでいます。

そうして向上したドローンが取得する膨大なデジタルデータを瞬時に送受信できることが「空の産業革命」の要です。測量、インフラ整備、防犯、警備、防災、捜索、救助といったあらゆる分野に共通する課題といえます。そのために通信分野でも、改革が進んでいます。

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実現への鍵は都市部での目視外飛行

2.4GHz帯(10mW/MHz)は、無線局免許なしで利用できるので我が国のドローンユーザーにお馴染みの周波数です。しかし長距離通信はいささか非力で、より強力な周波数と出力の解放が望まれていました。

総務省は、ドローンを含むロボットの電波利用が高度化していくにあたって、情報通信審議会で使用可能周波数の拡大や最大空中線電力の増力等に向けた技術的検討を実施し、平成28年8月に無人移動体画像伝送システムとして制度整備され無線局免許を取得すると、2.4GHz帯1W、5.7GHz帯1Wが利用できるようになりました。

また、携帯電話は、大容量のデータが送受信できるネットワークとしてドローンでの利用が強く求められています。総務省は、2016年7月に地上の携帯電話に影響を及ぼさないよう、飛行台数を監理して使用を認める「実用化試験局制度」を導入。KDDIとNTTドコモが関連サービスを提供中で、2019年度中に制度改正の検討を実施する予定です。

センサーと技術、法整備でさらに広がる活用分野

宅配便がマンションのベランダに届いたり、トンネルなどの公共インフラを自律飛行で点検し、老朽箇所があればセンターに連絡、ロボット修理車が出動して自動的に修理したりといった風景が日常化する日も、そんなに遠くはないでしょう。

今後ドローンの飛行性能の高度化とともに、より高精度なセンサーを搭載できるようになり、より精密な測定が可能となるはずです。測量や公共インフラ点検のルール見直しも進んでおり、ドローンを空飛ぶセンサーとして全面利用することも視野に入ってきました。今後、取得データの解析技術は、業務推進の上で不可欠なものとなることは間違いありません。

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空の産業革命を制するは、解析ソフト選びから

データ利用の上で重要なことは、処理速度、信頼性、そして何より重要なことが妥当性です。対象物の重量を知りたい時に、計測機として物差しを利用したのでは、いくら早く処理できても、いくら精密にはかれても意味がありません。

デジタルデータの解析作業もそれと同じ、業務の目的に最適なソフトウェア選びが大切です。弊社は、ユーザー企業様の業務に合わせてワンオフでソフトウェアを開発する会社です。ドローンを実際に飛ばし、お客様とご相談しながら問題点を解消し、パッケージソフトのように多機能ではないけれど、キラリと光る専用工具のように叶えたい目的に特化して最高の機能を発揮する道具を作ることが可能です。ドローンによるデータ収集や解析に関して疑問点やご要望があれば、弊社にお気軽に相談ください。