なぜドローン測量なのか?普及の背景と導入メリット、今後について解説

土木業界が求める効率化という背景

近年、ドローン測量に対する期待が高まっています。その理由として、国土交通省による、モノをインターネットに繋げる「ICT」を建築業界で活用してく「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みがあります。

国土交通省では、「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組であるi-Construction(アイ・コンストラクション)を進めています。

土木業界では人手不足が深刻化しており、新3K(きつい、厳しい、帰れない)から脱却し、生産性を向上させていきたいという狙いがあります。

ドローンであれば従来の測量方法より時間がかからない、さらに写真測量により測量データを3Dで生成することができ、設計・施工計画時に必要な土の量を自動算出するといった省力化にもつながる。こうした理由でi-constractionにおいてドローンも注目されています。

また、ドローン測量は国や自治体からの補助金を得られる事業でもあり、その点からも注目が集まっています。

例えば、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」、経済産業省ITより採択される「IT導入補助金」、商工会・商工会議所の「小規模事業者持続化補助金」などがあります。

国土交通省が公開している「ICT施工に利用できる可能性が高い補助金制度」という資料にも、ドローンの記載があります。 ICT施工に利用できる可能性が高い補助金制度|国土交通省

ドローン測量を導入する3つのメリット

メリット1:測量にかかる時間とコストを大きく削減できる

従来の測量では数千地点の測量に約1週間要していたのに対し、ドローンであれば、数百万地点の測量を約15分で完了できるメリットがあります。

また、ドローン測量の場合、データ処理のスピードも速く、現場で取得した画像を取り込んでおいて、帰る頃には終了しているといったように、時間的ストレスを軽減することができます。

少人数での測量が可能になり、時間も掛からない。さらにはコストがかかる航空機を飛ばす必要がないため、大幅なコスト削減ができる。これがドローンの大きなメリットの一つです。

日本コムシスが13ヘクタールの森林地域に対して行った3次元測量では、4人(ドローン・測量技術者)の作業体制で、2日間に短縮し、測量にかかるコストを5分の1に削減に成功しています。

また、テラドローンは水面地形の測量用のレーザースキャナーを使うことで、「30~40%程度のコストダウンを見込める」としています。

メリット2:高精度な3Dデータが得られる

ドローン測量から得られるデータで体積を算出し、3Dモデルや図面を作成します。また、3Dデータと設計図面との差分から施工量を自動算出するなど、データをオートマチックに活用することもできます。

3Dだけでなく、精密な2D地図データや高低差データも表示でき、測量したエリア内の距離や面積、容積などの計算に役立ちます。

メリット3:安全性が高い

安全に測量することが難しいとされる山や崖などにおいて、作業員によって作業員する場合に比べ、安全にデータを測量することができます。

測量という作業の性質上、堕落・転落などの事故が複数あります。特に斜面や高所、河川付近でこうした事故が多発する傾向があります。

ドローン測量のデメリット

バッテリーの持続時間が短い

ドローンは基本的にバッテリーによる飛行となりますが、一度の飛行で長時間飛行し続けることができません。

機種、飛行の仕方、積載物の有無などの諸条件により更に細かく変動しますが、 多くのドローンがバッテリー一本あたり、15~30分程度の飛行時間となります。

天候に左右される

ドローンの弱点として小型で軽量であることから、強風に弱いという点が挙げられます。国土交通省の安全マニュアルでは、風速毎秒5m以下で飛行を定めています。

ドローン利用は故障や事故などのリスクがあります。全天候型のドローンであれば別ですが、一般的な機種の場合は梅雨などの雨が続く時期は、ドローン測量を行うことは難しいでしょう。

利用できる場所が限られる

ドローンはヘクタール単位の土地の測量に効果を発揮すると言われています。そのため、高低差の小さい数十平方メートルの測量では、非効率になることも考えられます。

また、飛行時に障害となり得るものが多数ある場合にも、安全性の観点から飛行させることができません。立地や周囲の条件によってドローンが利用できる場所が限られてしまいます。

ドローン測量には2つの方法がある

ドローン測量には大きく分けて「写真測量」と「レーザー測量」という2つの測量方法があります。目的も機器も異なるこの2つの手法の違いを以下に解説します。

写真測量について

写真測量とはドローンに搭載したカメラで静止画を連続撮影しながら飛行し、その画像を重ね合わせて3次元モデルを生成する測量方法です。

従来の航空機や衛星を用いた測量に比べ、低空飛行によって高解像度な写真を撮影できます。3次元モデルの生成には処理時間を要しますが、ドローンでの撮影は短時間で済むため、屋外での作業時間短縮につながります。

レーザー測量について

レーザー測量とはドローンに搭載したレーザー発振器が、地表に向けてレーザーを照射します。
照射したレーザーが反射して帰ってくるまでの時間やレーザーの速度から、地表までの距離を計測する測量方法です。

写真測量の場合、樹木などの地表を遮るものがあると地表を測量することはできません。しかしレーザー測量の場合には、葉をすり抜けて地表を測量することができます。

レーザー測量の場合、写真測量に比べより高精度なデータを取得できることも特徴です。こうした特徴から、森林測量や電線点検といった測量にレーザー測量が用いられます。

なお、高精度な測量ができる分、ドローンの位置や姿勢を正確にする技術も必要となり、技術的なハードルは高く分類されると言えます。

また一般的にレーザー測量に用いられる波長のレーザーでは、水面下の情報を取得することができませんが、グリーンレーザーと呼ばれる波長であれば、水面下の計測も可能となります。
水面下の計測も可能となることで、以下の用途での活用が期待されます。

河川管理

堤防から河川敷、河道を一度にレーザーで測量(計測)し、3次元モデルの作成が可能です。水陸がつながった面的な3次元モデルは、河道状況の把握や河川の維持管理に資する情報として利用することができます。

港湾管理

港湾構造物の管理に3次元データが活用できます。パスコでは、堤防や離岸堤、消波ブロック(テトラポッド)などを対象とした緻密な測量(計測)をドローン、広域の計測をALB(航空レーザー測深機:Airborne Laser Bathymetry)というように、目的や範囲に応じて機材を使い分けながら三次元データを取得します。

i-Constructionへの活用

陸上部と水中(水底)の地形を同時に測量(計測)できるドローン搭載型レーザーシステム(グリーンレーザースキャナ) は、土木・港湾工事のICT施工に有効な測量(計測)手法の一つです。

ドローンBizでもモバイルLiDARを使ったレーザー測量の実験・開発の取り組みを実施ています。
3次元モデルの生成からフィルタリング、樹木の太さの測定まで解析しています。
詳細は以下の記事をご参照ください。

ドローン測量に必要な資格とは

ドローン測量に必要な資格は、測量士・測量士補の資格です。
ドローンの操縦について、国家資格のような法的効力をもつ資格はありません。

ドローンに関する知識や操縦技術については、一般社団法人や民間企業の資格を取得することで、得ることができます。

なお、ドローンを飛行させる場所などによっては国土交通省への許可申請が必要となります。
詳細は以下の記事をご参照ください。

ドローン測量にマッチする業界

土木・建設業がマッチすることは言うまでもありませんが、ドローン測量のデータを測量以外の目的で活用することも可能で、映像業界やリサーチ業界にも活用できます。

ドローンの魅力であるデータの取得、整理のしやすさを考えると、測量データをコンテンツとして価値あるものに変えることができます。

株式会社みすず綜合コンサルタントでは、取得したデータを生かして空間情報コンサルティングを行っています。その他、同社はデジタルアーカイブ支援を行っています。

また、海外の投資家向けにサービスを行っている企業が、ドローン測量によって、適切な投資資料を作成するといった活用もできるでしょう。

最後に:測量手段としてドローンは当たり前になる

国はドローン測量導入によって、建設業界の生産性の低さや利益率の悪化を改善し、建設現場で働く人の賃金水準や労働環境を向上しようとしています。

過去に国土交通省では2012年からCIMの試行を開始し,2018年から大規模工事の詳細設計にCIMを含めたICTの全面的な適用を原則としています。

『ドローンビジネス調査報告書2019』によると、土木建築分野でのドローン市場は、2016年度30億円、2018年度36億円と順調に拡大しています。さらに、市場は急速に拡大し、2019年度には90億円、2020年度には188億円規模なると予測されています。

ドローンの導入は、測量士の人材不足を解消するために避けては通れません。2018年9月の「建設技術職」の建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は9.93倍となっています。

現時点ではドローンそのものの安全性やバッテリーの持続時間など、技術的な課題や運用ミスによるヒヤリハットの事例もありますが、ドローン測量は日々進化し、これからの測量手段としてスタンダードになっていくと考えられます。

前述のとおり、国も積極的に推進しており、対象となる補助金を利用することもできるため、導入や熟練は早いうちにすることが望ましいでしょう。

ドローン測量を利用することで、測量サービスの選択肢も大きく広がります。測量に携わる企業だけでなく、様々な業種・業態での活用が期待されます。

「こんなことに使えないだろうか」「〇〇にドローンが有効か知りたい」といったご要望はございませんか。ドローンBizでは、ドローンに関する導入支援やシステム開発のご相談まで一貫して承っております。お気軽にご相談ください。

ドローン測量の様子