2017年6月に消防庁が、各消防本部における無人航空機の保有実態調査を実施したところ、全国で100を超える消防本部が保有を検討していることがわかりました。今後、消防本部の無人航空機の導入が増加することを見込み、2018年1月にドローンの特性や機能などの基本的な説明から、運用人員や運用体制までをまとめた「消防防災分野における無人航空機の活用の手引き」が作成され、運用の目安として公開されました。一方で、ドローン認定団体や空撮会社との協定締結も進んでいます。いよいよ、本格的な普及期を迎えた消防現場でのドローンの活用について紹介していきます。

消防現場でもドローンの本格活用が始まる

2018年6月に同庁が実施した調査では、ドローンを保有する消防本部は116に増え、さらに90を超える消防本部が今後の保有を検討していることがわかりました。ドローンの配備状況や活用実績を見ていきましょう。

消防庁が全国47の消防学校に無償貸与

消防庁は、現場の状況把握に有効として、ドローンを各都道府県の消防学校に無償で貸し付けしています。2017年度、2018年度にそれぞれ16台ずつ、2019年度に15台、全国47の消防学校に配備されています。消防学校が、消防団への教育訓練を通じてドローンを体験してもらい、市町村での活用を促進するのが狙いです。ただ、財務省の予算執行調査結果(2019年6月25日)では、2017年度、2018年度に無償貸与された32の消防学校のうち、年度内に3回以上研修を実施した学校は、2017年度に1校、2018年度に5校と低調です。消防学校が、消防団員への教育訓練に配分できる人員や時間数の限界、市町村の予算措置の制約があり、消防団向けの支援のあり方を抜本的に見直すべきだと指摘しています。各地で締結が進んでいる市町村とドローン会社との緊急時における協定は、こうした問題を解決する手立ての一つではないでしょうか。

令和元年6月公表分 総括調査票(出典)令和元年6月公表分 総括調査票

行方不明者捜索や大規模火災の情報収集に実績

広域災害でのドローン活用がよく紹介されていますが、身近な消防本部では、どんな活用がなされているのでしょうか。

消防庁の広報誌「消防の動き」(2018年12号)から紹介しましょう。消防現場でドローンが使われた実績はすでに75件もあり、火災調査、救助活動、火災活動などで幅広く活躍しています。例えば、行方不明の高齢女性の捜索では、残念ながら発見にはいたりませんでしたが、広大な稲作地帯を効率的に捜索でき、人の歩いた痕跡を発見して捜索活動のための有力情報が得られたとしています。また、河川内の行方不明者の捜索では、水面が反射して地上からの目視が困難であったためドローンで上空から俯瞰撮影したところ、河川の中洲で行方不明者が倒れているのが発見できたとあります。

また、火災での情報収集でもドローンは活躍しています。大規模倉庫火災では、俯瞰撮影により燃焼状態などの現場情報を迅速に収集、現場指揮者の活動方針決定に活用されているとのことです。

現場をリアルタイムで動画確認できれば、安全な進入路をより確実に把握でき、安全管理等にも役立ちます。

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ドローン活用の手引きを消防庁が公開

「消防防災分野における無人航空機の活用の手引き」の公開は、消防現場でのドローン活用の公認表明であり、そこに記された無人航空機の特性、使用用途と性能の関係、維持管理、事故対応、などは、民間参入のヒントになりそうです。

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消防に求められるドローンの性能とは?

手引きでは、飛行の安定性、耐候性の確保ができ、熱画像カメラの搭載が望ましいとしています。また、撮影画像を迅速に地図上へ反映させる機能も求めており、情報の見える化、スタッフ間での情報共有が重視されていることがわかります。

2019年1月に京都市消防局が導入したドローンは、DJI社製Matrice210。防塵,防滴仕様で,2種類の撮影カメラ(熱画像カメラと望遠カメラなど)を搭載し,同時撮影が可能。長時間の飛行(約30分)が可能で、消防局本部への映像伝送が可能であるため,局本部と現場が一体となった災害への早期対応が実施できるとしています。

全国で広がる災害時事業協定、参入の条件とは?

総務省は、ドローン事業者63社と「災害時等における無人航空機による情報収集活動(撮影等) に関する協定」に締結しています。これは、「災害時等において、無人航空機に関する必要な操縦技術等を有する民間事業者との連携により、災害現場の映像や画像などを撮影し消防庁に速やかに伝送することによって、災害状況を迅速に把握することを目的」としています。地方自治体と民間事業者との連携も日々進んでおり、消防現場における民間協力は不可欠なものになると思われます。

「消防防災分野における無人航空機の活用の手引き」でも、山間部での映像が伝送、映像の再生方法、衛星回線経由でのデータ送信、地図上に反映させるためのオルソ画像化など、空撮データ利用の伝送方法と「見える化」等の情報共有技術において「近隣の事業者で技術を有する者とあらかじめ協定を締結するといった方法が考えられる」と民間協力の必要性を強く認識していることが伺えます。

消防においても、「空撮」だけでよかった時代から「データ処理技術」が問われる時代へと急速に移行しているようです。

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人命救助に貢献。ドローンリモートセンシングと情報共有

オルソ画像の作成、現場の3Dモデル化、赤外線センサー撮影データのサーモグラフィー化など、取得データの「見える化」など、消防で求められる技術は、特殊なものではなく、測量・調査で広く活用が期待されている新技術です。

空飛ぶセンサーであるドローンから得たデータの解析と情報共有が業務効率化の要です。それだけに解析ソフトの精度と妥当性が求められます。

弊社は、そうしたデータ処理ソフトウェアをパッケージ商品ではなく、受注開発を専門としています。ユーザーの要望を聞き、事業の規模や成長に合わせてワンオフで開発していきます。ドローン活用に関する疑問やご希望があれば、なんなりとお気軽にお問い合わせください。