近年、ドローンの実用化は急速に進んでおり、飛行するという基本的な性能だけでなく、様々なアプリケーションとの組み合わせによって、その活用領域は、農業、警備、測量など多岐に渡っています。ドローンの活用が様々な場面で進めば将来的には大きな市場を形成すると予測されているため、米国を中心に大手企業、ベンチャー企業を始め様々な企業が、ドローンの開発、及びそれに付随するアプリケーションの開発を進めています。
在庫管理におけるドローンの活用
在庫管理に対しても、一例として次のような活用事例があります。
現在一般的な在庫管理では、棚に積みあがった梱包物に管理シールを張り付けておき、この管理シールを読み取ることで梱包物の中身を把握しています。
しかし、人がこの在庫管理を行う場合には膨大な在庫位置情報とその管理が必要であり、構造的に高い位置の在庫物の管理シールを読み取ることは手間で危険も伴います。また、在庫の棚卸作業において、数量の相違があれば、相当な時間をかけて探す作業が発生するため、そのコストは莫大なものです。
これらを解決する手段としてドローンの導入が進められています。ドローンは飛行物体であり構造的な高さの問題はありません。またアプリケーションとして管理コードを認識する機能をドローンに設置すれば、人間の代わりにドローンが在庫管理を行うことが可能です。
そして在庫の位置情報、在庫の数などのデータを取集し、社内のデータベースと連結させれば、人の手を煩わす場面も少なくなります。更に、人間が行っていたために発生していた人的ミス等も大幅な低減が期待できます。
つまり、ドローンを導入することによって、より確実な在庫管理と大幅なコスト削減の実現につながると言えるでしょう。
国内での事例
国内ではサトーホールディングスがドローンと自動認識技術を組み合わせて、自動で在庫管理や棚卸ができるシステムを開発しました。
2016年4月22日に開催された国際ドローン展では、このシステムを利用したデモンストレーションも行われました。
RFIDのラベルを貼り付けた荷物に対し、RFIDスキャナーを搭載したドローンを飛行させて、スキャンするという仕組みとなっています。
またドローン本体は自律制御システム研究所のMS-06LAを使用し、ドローンの飛行は人の手による操縦ではなくプログラミングによる自律飛行が行われていました。
広大な倉庫を抱える事業者等にとっては、非常にパフォーマンスが期待できるシステムとなります。
海外での事例
海外ではウォルマートがドローンによる在庫管理のテストを始めています。実際の運用にはまだしばらくかかるようですが、ドローンという最新技術を取り入れた在庫管理効率化への取り組みに力を注いでいます。
なお、こちらはRFIDスキャナーを使用したものではなく、画像認証による在庫認識とのことです。
他にも、在庫管理を目的とした自律飛行ドローンは下記をはじめとして、様々な企業が開発を進めています。
屋内における法規制
なお、屋内での飛行は無人航空機の飛行ルールの対象とはなりません。人口集中地区であっても夜間飛行であっても、屋内飛行であれば飛行可能で、無人航空機の飛行ルールの違反とはなりません。
Q5-4 人口集中地区であって、集中地区であって、屋内で飛行させる場合も許可は必要ですか。
A 屋内での飛行は、航空法規制対象外となることから許可不要です 。
屋内でのドローンの飛行はGPSが受信できないデメリットなどはありますが、自社で広大な屋内施設を所有していればドローンを用いて様々な研究・開発を行うこともできるでしょう。
近い将来”倉庫内ドローン”の存在は在庫管理に頭を抱えている企業にとって、必要不可欠のものとなっていきそうです。