Amazon Prime Air(アマゾン・プライムエア)という配送サービスを計画する米国アマゾンは2020年8月、米連邦航空局(FAA)からドローンを使った配送サービスの商用化に必要な認可を受けました。ドローン規制に厳しいFAAの認可は、世界的なドローン配送の本格化に拍車をかけるに違いありません。我が国でも2都市部での目視外飛行の実現を目指して規制緩和と法整備が進められており、2023年をめどに都市部でのドローン配送が実現する見込みです。いよいよ世界的なドローン配送が本格的にスタートすると言えるでしょう。
ドローン配送が実運用時代に
アマゾンは2013年からドローン配送をテストしており、2019年夏には数か月以内にサービスを開始するとアナウンスを行い、世界のドローン関係者がその動向を注目していました。
各企業がドローン配送事業に乗り出す現状
2019年4月、Google系列のAlphabet社の子会社Wing社が米国での商用配送のFAA承認を最初に取得したドローン配送会社になり、FedEx Express社とともにドローン配送を開始しました。
UnitedParcelServiceも同月、FAAからドローン配送利用の承認を獲得しました。さらに2021年からWalmart社もドローン配送を開始します。そして、その動向が注目されていたAmazon社が2020年8月にFAAからドローン配送が認可されました。
同サービスの配送用ドローンは5ポンド(約2.3キログラム)未満の荷物を30分以内に顧客に運ぶことができ、その飛行距離は最大15マイル(約24キロメートル)です。配送センターで荷物を積み込まれたドローンは自動的に離陸し、顧客の庭先に着陸後、荷物を下ろして自動的に配送センターへ戻ってきます。将来的には、飛行船を利用した空飛ぶ倉庫からドローンを発着させ、より利便性を高める計画もあるようです。
長距離輸送は我が国でも実証実験済み
我が国でも、飛行レベル3に当たる長距離ドローン配送は実証実験を終えています。その概略は以下の通りです。
ⅰ)長野県白馬村(2018年10月22日~23日)現状ヘリコプターで実施している山荘への食糧等の配送をドローンで実施するための検証実験(片道1km、高低差350mを5分で飛行)を目視外補助者有り飛行により実施した。
ⅱ)福島県南相馬市・浪江町(2018年11月5日~6日)現状自動車で実施している郵便局間の荷物配送をドローンで実施するための検証実験(片道9kmを15分で飛行)を「審査要領」に基づき我が国で初めてとなる目視外補助者無し飛行により実施した。
ⅲ)福岡県福岡市(2018年11月20日~21日)現状船舶で実施している離島への生活品等の配送をドローンで実施するための検証実験(片道5kmを10分で飛行)を目視外補助者有り飛行により実施した。
ⅳ)岡山県和気町(2018年12月1日~15日)現状自動車で実施している集落への生活品等の配送をドローンで実施するための検証実験(片道10kmを15分で飛行)を目視外補助者有り飛行により実施した。
ⅴ)埼玉県秩父市(2019 年1月 15 日~25 日) 送電設備上空を空の道として利用した「ドローンハイウェイ」の活用に向けた検証実験(片道3km を 10 分で飛行)を目視外補助者無し飛行により実施した。
ウィズコロナ・レストランからの出前が人気
ウィズコロナ時代は、ソーシャルディスタンスを意識して宅配事業が好調です。先述した事例のように、長距離輸送はすでに実証実験が成功しており、都市部でのラストワンマイルが課題になっています。
ビーチへ配送を行ったドミノ・ピザ
ドミノ・ピザは、2016年11月に、ニュージーランド・オークランドの北25kmに住む顧客に世界で初めてドローンでピザを配送した会社となりました。また2020年6月には、オランダ・アムステルダムで行われたビーチでくつろぐ顧客を対象にしたドローンによるピザの配送実験にも成功しました。ドミノ・ピザは、自転車やバイクといった従来の交通手段では配送が困難な場所に対して、将来有効な配送手段としてドローンの利用を検討してきました。2020年に行われた実験は、緩い砂地が続くビーチを舞台に、配送手段としてのドローンの有効性を確認するものでした。
二ュージーランドの事例との違いは、住宅への配送ではなく、任意の場所にいる顧客へ配送するという部分で、広い範囲から配送先を特定するにあたって顧客が持つスマートフォンのGPSが利用されました。
近頃、レストランの料理を宅配するウーバーイーツやフードパンダなどが人気ですが、近い将来、自転車に取って代わり、ドローンが配送する風景を見るのが当たり前になるのかもしれません。
リピート利用に便利なARマーカーやAI顔認識
ドミノ・ピザの事例のように自社でデリバリーを考えるなら、自律飛行方式として、弊社が得意とするARマーカー方式が有望です。マークとしての特徴が明らかであり、他社が使用できないものであれば、ARマーカーとしての利用が可能です。例えば、電柱広告や看板などをARマーカーとして利用することが考えられます。何度も注文してくれる顧客宅への配送なら、顧客宅までにあるビルや銅像など固定された物体をAIで機械学習させたり、看板にマーカーを仕込んだりすることでドローンを自律飛行させることも可能でしょう。さらに、顔認証技術との連携で、スタジアムなどの人混みの中でも、登録した顧客の顔を認識して、冷えたビールとおつまみを配送するなど、ドローン配送の未来に夢が広がります。
ドローン近距離配送。ユニークソフトでビジネスチャンスをガッチリ
記事で見てきたように、ドローン配送の実用はもう目の前です。ウィズコロナが避けられない時代にあって、ソーシャルディスタンスを求める社会的背景が宅配業界を活気づけています。ドローン配送は小ロットの長距離輸送手段と考えがちですが、実は、レストランからの料理や雑貨店からの日用品配送など、短距離輸送の手段としてマーケットを広げそうなのです。導入しやすい自律飛行方式やAI認識技術で、このビジネスチャンスを確かなものにしてはいかがでしょう。
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