無人航空機の飛行ルール

航空法の一部を改正する法律により、無人航空機の飛行に関する基本的なルールが定められました。
これにより、国土交通省の許可なく以下の場所・条件でドローンを飛行させることはできません。

  • 地表又は水面から 150m 以上の高さの空域
  • 空港周辺の空域
  • 日出前、日没後に飛行させる
  • 目視外飛行をする(目視外飛行の例:FPV、モニター監視)
  • 第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との距離が30m未満の飛行
  • 祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空
  • 爆発物など危険物を輸送する
  • 無人航空機から物を投下する

その他にもいくつかの注意事項などがありますが、ここでは割愛させていただきます。
無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールについての概要・詳細は以下の記事をご参照ください。

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なぜ規制があるのか

ドローンをはじめとした無人航空機の開発は、趣味だけにとどまらず、私たちの生活やビジネスへの用途拡大等々、新しい可能性を示してくれています。 しかしその一方で、この新しい技術に対して法的規制はほとんどありませんでした。
そんな中起きたのが、2015年4月に起きた“首相官邸へのドローン落下事件”。首相官邸の屋上に小型無人機が落下していたというニュースは大きく報道されていたため、記憶に残っている人も多いかもしれません。
そしてさらにその翌月に起きた、“善光寺ドローン落下事件”。こちらも幸いけが人はいませんでしたが、七年に一度行われる善光寺の最大の行事には多くの人が訪れます。もしかしたら、一大事になっていたかもしれません。

ドローンが関連したこれらの事件は、新しい技術である無人飛行の運用に対して、規制がないという安全対策に対しての穴を浮き彫りにしました。
こうしたこと等がキッカケとなり、国土交通省は安全確保を目的として、法規制を制定しました。

近年、遠隔操作や自動操縦により飛行し写真撮影等を行うことができる無人航空機が開発され、趣味やビジネスを目的とした利用者が急増しています。新たな産業創出の機会の増加や生活の質の向上が図られることは歓迎すべきことです。
一方、このような無人航空機が飛行することで、人が乗っている航空機の安全が損なわれることや、地上の人や建物・車両などに危害が及ぶことは、あってはならないことはもちろんです。
このため、航空法の一部を改正する法律(平成 27 年法律第 67 号)により、無人航空機の飛行に関する基本的なルールが定められました。

引用: 国土交通省 航空局 / 無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン

許可申請について

上記規制に該当する飛行を行う場合には、国土交通省への許可申請が必要となります。許可を得るには安全確保への対策がしっかりとできていることが前提となります。
また、許可申請を行う際には10時間以上の飛行実績が必要です。 しかしこれは、飛行を規制している場所でドローンを飛行させるのであれば、操縦技量が問われるというのは当然のことといえるでしょう。

ドローン操縦

許可申請は本当に面倒くさいものなのか

人口集中地区に該当する都市部等でドローンを飛行させる際に避けては通れないのが、国土交通省への許可申請です。

許可申請は面倒くさいものなのかという質問があったら、「面倒くさいものである」と認めざるをえません。

許可を得るには、飛行場所や日時、飛行経路の詳細や飛行させるドローンについての資料、飛行実績の証明や加入保険の証明資料などを記載した様々な申請書の作成が必要です。また、申請書提出後には、厳正な審査があります。申請書の作成から承認までも時間がかかります。
しかし、全ては安全確保のためにしなくてはいけないことです。

許可が必要な場所で許可なく飛行し、書類送検された事例が多数あります。

自分だけの都合等で法律やルールを無視してはいけません。安全確保のために、ルールをきちんと守って適切にドローンを運用しましょう。

参考記事

許可申請をすることのメリット

冒頭で紹介した首相官邸への落下事件などの報道により、ドローンに対する冷ややかな視線があるのは事実です。弊社がドローンを飛行させている際にも、近隣の方から通報されたことが何度もあります。
しかし、許可申請を行って承認書を所持している場合、通報されたとしても正当な目的で飛行していること、ドローンを正しく扱うことができることを証明できます。
事業でドローンを利用する側としては、承認書はとても有り難いものなのです。

また、飛行を行う前に、管轄警察署へドローンを飛行させることについて連絡する際にも、申請書があると話がスムーズになりやすくなります。
法により縛られているというデメリットよりも、法によって守られているというメリットのほうが大きいといえるのかもしれません。

許可書(写し)

今後の法規制動向

航空法改正に伴う、無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールの制定はドローン業界にとって大きな変革でした。では今後どんな変革があると考えられるのでしょうか。

実は、国土交通省がドローンの飛行に対する規制として新たな動きを取り始めました。

現在航空法で規制されている人口密集地などにおける、無許可での飛行を制限するための技術開発に乗り出しました。

参考記事

ドローン本体による規制

実は既に一部のエリアでは同様のシステムが存在しています。
DJI製品は、皇居周辺、国会議事堂周辺、空港周辺等ではモーターが回転できないようになっています。

DJIフライトマップ(出典)DJI / フライングエリアの制限

ドローンユーザーにとっての影響

上記の規制が実現した場合、ドローンユーザーにはどのような影響があるのでしょうか。

これはずばり、「飛行していい場所かどうか」が一目瞭然となる、と言えるでしょう。

法規制は始まったばかりであるため、いきなり法規制について理解することは少々ハードルが高いものです。実際、弊社にも「飛行していい場所かどうか」という質問は数多く寄せられています。

しかし、規制が確固たるものになり、飛行していい場所かどうかがより明確になれば、ドローンユーザーにとって大きな不安や疑問が解消されます。また、物理的に飛行が制御されるため、規制を無視した飛行もできなくなり、法律を無視した身勝手な飛行、テロや犯罪などの抑止にもつながります。

まだ先の話ではあるものの、国土交通省のドローン飛行に対する規制の取り組みは、ドローン業界にとって大きな変革になると言えるのではないでしょうか。

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