【ドローンのビジネスモデル】今後の業界はどうなる?その将来性とは
2019年は、ドローンを用いた宅配サービスの実用化や、複数台のドローンを自律飛行させる技術など、周辺サービス市場の分野も盛り上がりを見せそうな様相を呈しています。
こちらの記事をご覧の皆さんの中にも、今後拡大が期待されるドローン市場の中で、新しいビジネスモデルを模索している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、ドローンにまつわる業界のビジネスモデルの今後について想定してみます。
ドローンにまつわる業界の市場規模を知ろう
ドローンを活用したビジネスモデルを考える上で参考になるのが、ドローンにまつわる業界の現状や将来性についての情報です。まずは現在の市場規模と、今後の市場成長性についてみていきましょう。
ドローンにまつわる業界の現在の市場規模
インプレス総合研究所が発表している、ドローンビジネスの市場規模に関するデータによれば、2018年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は、2017年度比85%増の931億円と推測されていました。
ドローンビジネスは、完成した機体の販売額を表す「機体市場」と、ドローンを活用した業務における売上を表す「サービス市場」、付属品の販売や保険商品の販売などによる売上を表す「周辺サービス市場」に分けられ、2018年度において、「機体市場」で346億円、「サービス市場」で362億円、「周辺サービス市場」で224億円の市場規模とされています。
ドローンにまつわる業界の5年後に予想される市場規模
ドローンにまつわる業界の5年後に予想される市場規模はどのようなものになるのでしょうか。
同研究所が発表しているデータによると、2022年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は3,463億円と予想され、2018年度の3.7倍になると予測されています。
「機体市場」では758億円(2018年度比2.2倍)、「周辺サービス市場」では501億円(同2.2倍)の拡大が見込まれており、特に空撮や測量などのドローンを活用したビジネスが含まれる「サービス市場」は、2,204億円(同6.1倍)と一層大きな市場となっていくでしょう。
また、ドローンを活用したビジネスモデルは現在も各分野で独自の研究が行われており、医療や教育などにも活用され始めております。こういった未開発な分野に取り入れられることで予想を上回り、急激に市場が拡大してくことも考えられるでしょう。
今後、拡大が見込まれるドローンにまつわるビジネスモデルとは?
上述の調査報告書が示す通り、今後、ドローン市場は各分野において規模拡大が期待できます。では次に、どのような具体的な動きが予測されるか、産業分野別にみていくことにしましょう。
点検分野
点検分野は、サービス市場で拡大が期待されている分野の一つです。建物やインフラ設備は定期的な点検をする必要があり、従来の方法では高額な点検機材や多くの作業員が必要とされます。また、作業員の安全を確保することも大きな課題でした。
建物やインフラ設備の点検にドローンが活用することで、作業コストを抑えるとともに安全かつ効率的に点検業務を実施できると期待されています。 また、ドローンにはレーザースキャナやサーモグラフィーなど多様なセンサーが搭載でき、損傷形状のより詳しい点検も可能になりました。
測量分野
技術者の人手不足や人件費の高騰に悩まされている建設業界では、点検分野と併せて、ドローンを使った測量にも期待が寄せられています。
また、2015年より国交省によって測量・設計・施工・検査・維持管理に至る全ての事業プロセスで情報通信技術を導入して生産性向上を目指す試み「i-Construction(アイ・コンストラクション)」が進められており、ドローン導入が義務化される動きもみせています。
空撮分野
近年のサービス市場を牽引してきたのが空撮分野です。テレビ番組や観光PRなど、様々なものに活用されてきました。
このようなニーズは今後も高まる一方、近年では空撮の特性を生かして、サーマルカメラ(熱を感知できるカメラ)を組み合わせた災害対策や、ドローンによるオフィス巡回システムが企業で導入されるなど、人命救助や警備などにもドローンの活躍が期待されています。
農業分野
サービス市場で拡大が期待される分野の一つが農業分野です。農薬散布においては、すでに実用化されている技術もある一方、農業従事者の高齢化やノウハウの属人化により、後継者不足に悩まされています。
ドローンを使って日照や生育状況を数値化することで、科学的な農業が実現できれば、他の業界からの人材流入が見込まれ、後継者不足の課題が解決されることが期待されています。
物流分野
サービス市場においては、物流分野でも将来的に大きな伸びしろに期待大です。
Amazonや楽天などが実証実験を重ねており、日用品や軽貨物は空から配送してもらう日常がすぐそこまで迫っているといえるでしょう。
医療分野
アフリカでは輸血用血液やワクチン、医薬品の輸送手段としてドローンが用いられています。
現在は交通網の発達していない発展途上国での展開が計画されていますが、交通渋滞に悩まされる先進国や、過疎地医療の充実にも期待が寄せられています。
人材育成・人材派遣分野
周辺サービス市場の中で拡大が見込まれるのが、人材育成・人材派遣分野です。いずれ、ドローンの操縦者は運転免許と同じような資格制度となることが見込まれ、操縦者を養成するドローンスクールは全国で広がりを見せています。
一方、自前で操縦者や技術者を持たない企業に向け、それらの人材を登録し、適宜、派遣するビジネスもニーズが高まっています。
情報システム分野
数多くのドローンが飛来する将来、飛行機の管制システムと同様、ドローンの飛行を管理するシステムの必要性も叫ばれています。
システムの開発だけでなく、保守・運用においても大規模なビジネスとなることが見込まれているのです。
アプリ開発分野
多くのドローンはスマートフォンのアプリで制御することができますが、ドローンがさまざまな分野で使用されるようになると、活用される業界特性に応じたアプリ開発にも期待が寄せられています。
例えば現在では、飛行経路をあらかじめ入力しておくことで、自動操縦が可能なアプリがリリースされていますが、今後ますますの広がりが見込まれるでしょう。
通信分野
周辺サービス市場では通信分野におけるビジネス拡大も期待されています。現在、ドローンが利用している無線帯域では、高所や遠隔操作において限界もあり、例えば中継アンテナとして機能するドローンや、今後普及する5G回線を用いることも考えられています。
一方で、不審なドローンの通信を無効化する装置など、セキュリティ領域での広がりも必要となってくるでしょう。
ドローン製造
機体市場の主軸となるドローン製造分野では、現在、DJI社(中国)やParrot社(フランス)、3D Robotic(アメリカ)は市場シェアの大半を占めています。中でもDJI社は世界シェア7割ともいわれ、日本でも多く使われています。
中でもDJI社は世界シェア7割ともいわれ、日本でも多く使われています。日本シェアについては、日本のドローン市場参入が遅れたことが大きく、NTTドコモなどの大手企業もドローン開発に参入しており、数年以内には徐々に日本市場のシェアが変化していくのではないかと考えられます。
まとめ
今回は、ドローンにまつわる業界のビジネスモデルの近い未来について見てきました。
「ドローン」という言葉自体は日本でも広く浸透しはじめていますが、日本のドローン市場はまだまだ成長段階です。現在、ドローンを活用したビジネスモデルが次々に生まれていく一方で、今後のドローンはより高度な技術が求められ、汎用性の高いドローンではなく専門性の高いドローンが開発されていくことも予想されます。
そうなると、国内ドローン開発メーカーの発展がよりスピーディーに進み、これまでドローンが参入していなかった分野での新しい活用も見込めます。今後は世界と同じく日本の市場も加速度的に市場が拡大していくことは世界的にみても間違いないでしょう。
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