屋外ではGPSを利用して誰でも簡単に操縦できるドローンも、一度屋内に入ると姿勢制御が非常に難しく、マニュアルではホバリングさせるだけでも苦労した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし近年、ナビゲーションシステム技術の向上で、閉鎖空間でも安定してドローンが飛行できるようになり、活用範囲がさらに広くなっています。
そうした技術の特徴や、そこから広がる新しいサービスを詳しく見ていきましょう。
開発が進む、GPSが届かない空間でのドローン自律飛行
ドローンが自律飛行するためには、今どこにいるのか、障害物との距離はどのくらいあるのか、どこから離陸し、どのルートを経由して、どこに着陸するのかを認識させる必要があります。電波の届きにくい屋内など閉鎖空間では、GPSに頼らない自己位置推定技術が不可欠です。
SLAM技術や電波発信機で自律飛行。高コストが課題
そうしたGPS利用が困難な閉鎖空間におけるドローン利用のための自己位置確認技術の研究が進んでいます。その代表がSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)です。
センサーによって周囲の環境の形状を把握し、その形状データをもとにドローンが自分の位置も推定するもので、自分の位置を逐次確認しながら地図を作成し、自己位置を修正していくものです。
その技術の一つ、Visual SLAMは、自律制御システム研究所(千葉県千葉市)が開発している国産ドローンのシステムとして知られています。カメラ画像を処理することで、ドローンが自分の位置及び方角を把握する技術です。
一方、ブルーイノベーション(東京都文京区)が開発したオフィス内巡回ドローン「T-FREND」は、電波発信機を使うことで自己位置を推定する方式で、暗闇でも飛行可能なのが特徴です。
この「T-FREND」を、ビルメンテナンスの大成が、NTT東日本らと2016年4月から実運用を始めています。
「夜間のオフィススペースのセキュリティ強化だけでなく、定期巡回により退社を促します」というのが同サービスの謳い文句です。残業抑制・働き方改革へのソリューションを提供する新しいドローンの利用例と言えるでしょう。
巡回警備や定点監視で進む実用化
我が国の橋梁やトンネルなどの公共インフラは高度成長期に建設されたものが多く老朽化対策のための点検が急がれています。自律制御システム研究所は、小型調査ドローン「Air Slider™」を水と環境のコンサルティング会社NJSと共同開発しました。
これは、直径400mmの下水道管の中を飛行し、高解像の動画を取得できる機体です。NJDが横須賀市、高杉商事とともに令和2年3月末(予定)まで続ける実験で使用されています。
横須賀市によると、「下水道管きょの調査点検へのドローン利用を、フィールド実証試験で従来型調査手法と比較し、その有効性を検証するもの。また、点検・調査による予防保全管理の実現に向け、ドローンを活用した調査点検業務のモデル化を行う」としています。
マーカー利用で、高性能自律飛行を実現
屋内でもさまざまな活用が考えられ、ぜひ導入したいドローンですが、もっと手軽に利用できる方法はないのでしょうか。
弊社では、GPSが利用できない室内や地下でのドローンの自動巡回を可能にするため、マーカーを活用した画像処理による自律飛行方式を開発しています。
使用ドローンもホビー向けから利用可能、あらゆる面で導入コストを低減
弊社は、GPSに代わってドローンに位置情報を提供するためのツールとして簡易マーカーを壁に貼り、ドローンに搭載されたカメラからそのマーカーが指示する内容を受け取り、飛行制御に利用する方式を開発しました。
位置確認用マーカーは、認識性が良く、簡単に制作できるARマーカーを使用、ドローンもホビー用から利用可能なため、他の方法に比べて大幅に導入コストが軽減できます。
飛行ルートも現場に合わせて柔軟に対応
マーカーは、ドローンが障害物に衝突するのを防止し、安全に指定されたルートを経由し飛行するルートを提供します。
つまり、マーカーを壁に直接設置することで、距離が確認できるというわけです。壁に近いほど移動速度を抑えたり、壁に近づきすぎたりしないようにするなどして、壁との衝突を回避する働きをします。また、飛行ルート上の方向転換ポイントに設置することで、上下左右の方向転換を可能とし、室内での自動巡回飛行を実現します。
弊社は、2019年4月25日、工場内の人が容易に立ち入れない場所をドローンが自動巡回することが可能かどうかの検証実験を実施しました。廃工場のロケーションとして貸し出されているスタジオを利用し、壁までの距離が遠かったり、高度差が大きかったりする広い空間でもマーカーによる自律制御巡回飛行が可能であると、確かめられました。
貴社の課題をワンオフのシステムで解決
屋外だけでなく、屋内でも多岐にわたる利用方法が考案されているドローン。導入したいが、コスト面で躊躇されていたご担当者も多いのではないでしょうか。
今回取り上げたように、ソフトや資材の工夫次第で導入へのハードル大幅に下げることが可能です。また、導入効果を高めるためには、自社のフィールドに応じたカスタマイズが不可欠です。弊社では、そうした要望にきめ細かく応えるオーダーメードで貴社の課題を解決します。貴社のニーズや悩みなど、何なりとご相談ください。