弊社がドローンを飛行させている際に、実際に発生した事故の記録を記載します。また事故発生から機体発見、加入保険の補償適用までの詳細経緯についても記載します。

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事故発生から補償適用までの記録
2016/03/18
- 11:30 飛行前の風速測定で風速は3~5m、飛行中の風速測定で突風により10mという状態
- 11:33 リスケを重ねた案件ということもあり、風はあるもののまずはホバリングにて様子を見るテスト飛行を実施
- 11:40 上空20m、50m、100mという高度で様子を見ながら撮影を進めており、着陸させようとしたタイミングで突風が吹き機体が流されはじめる
- 11:43 その後も強い風が続きコースロックでの操作も効かず、Return Homeも効かず機体が流され続ける。カメラを真下に向け、送信機のモニターで映像を確認しながら機体の位置を確認
- 11:45 機体が商業施設付近を飛行していたため、機体の飛行位置を移動させるために操縦を行い、近隣ゴルフ場周辺まで移動
- 11:50 バッテリーの残量が10%となり、近隣ゴルフ場周辺の森林に強制着陸
- 12:00 強制着陸寸前に送信機のモニターに表示されていたゴルフ場周辺へ移動
- 12:10 管轄警察署・撮影クライアントへ連絡、状況説明
- 13:30 ゴルフ場への謝罪および施設内の捜索許可を得る
- 13:35 捜索開始
- 14:30 ゴルフ場に墜落していないこと、けが人は居ないことを確認。機体は見つからず
- 15:10 保険会社へ連絡
- 16:00 管轄警察署にて遺失届提出
- 16:32 国土交通省へ連絡
- 16:36 東京海上日動より折り返し連絡
- 17:00 捜索断念・撤収
2016/03/21
- 11:00 フライトレコード再確認。私有地管理者宅を訪問、謝罪・捜索許可を得る
- 12:00 私有地敷地内を再捜索
- 13:15 機体発見、回収
- 13:30 管轄警察署にて遺失届の取り下げ
- 14:00 保険会社へ連絡、発見の報告
- 17:30 機体の損傷・破損状況の確認、記録
2016/03/26
- 販売代理店への点検・修理依頼、機体発送
2016/03/31
- 修理・テスト飛行完了、機体返送
- 保険会社へ連絡、動産保険の補償手続き開始
2016/04/01
- 保険会社より、補償手続きのための書類受理
2016/04/12
- 保険会社へ書類提出
2016/04/22
- 保険会社より、故障内容・修理内容についての詳細確認
2016/04/27
- 故障内容・修理内容についての詳細説明の資料を送付
2016/05/10
- 保険会社より、審査完了・補償金支払いについて連絡
2016/05/12
- 保険会社より、補償金入金
事故の発生要因、再発防止のために
今回の事故の発生要因は以下の通りです。
- 瞬間的にでも強風がある中で飛行を実施したため
- コースロックなどの操作がしっかり効くか、キャリブレーション後のチェックが甘かったため
- 機体が強風に煽られ、移動し始めていることに気付くのが遅れたため
再発防止のために、以下の項目を運用に追加しました。
- 風速に対する厳格なルール策定(飛行を禁止する風速についての検討等)
- 最初の飛行でのキャリブレーション、コースロック、ホームポイントのチェック
- 送信機のモニターと並行し、操縦者が機体を目視でコマ目にチェック
飛行監督・操縦者・補助員、全員の連携を強化していくことが当面の課題となりました。
今回の事故の経験から得た教訓を以下の記事に記載しています。
その他
事故発生後に国土交通省への連絡を行いましたが、第三者を巻き込んだ場合や負傷者などが発生した場合には報告の必要がありますが、今回のようなケースでは報告の必要がないとの指摘を受けました。また弊社では賠償責任保険だけでなく、動産保険にも加入していることにより機体の修理費用について補償金を受け取ることができました。
しかし、動産保険は機体が発見されないと補償を受けることができません。動産保険に加入している機体を遺失してしまった際には、フライトレコードなどを元に捜索を行いましょう。DJI製品のフライトレコードの確認方法は以下を参照してください。
まとめ
飛行中の高度維持・変更や、墜落地点の調整などにより人や不動産に衝突するという最悪の事態は免れることができました。トラブルが発生した際にも、落ち着いて適切な判断を行うことができるかが重要です。
今回の事故から反省すべき点も多々ありましたが、それと同時に日々の運用の中で心掛けが功を奏した点もありました。保険の加入、事故を避けるための運用、事故発生後の対応、これらはドローンの運用を行う上で非常に重要です。
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