地形調査におけるドローン活用、具体事例と現状

地形調査には非常に多くの時間と莫大な費用が掛かります。実際の高度や地形状況がどの程度かを測量するのは簡単なことではありません。断崖絶壁や崩落の危険がある土地など、実際に歩いて測量するのが困難な地形もあります。また、ヘリコプターなどの大きな機体では入り込むことができない狭く複雑な地形もあります。

地系調査

そこで、これらを解決する手段としてドローンが導入されました。

国土地理院では、ドローンを測量で使用可能にするため、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」及び「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」を作成し、平成28年(2016年)3月30日に公表しています。

UAVを用いた公共測量マニュアル(案)  「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」は、UAVで撮影した空中写真を用いて測量を行う場合における、精度確保のための基準や作業手順等を定めています。作業規程の準則(平成20年 国土交通省告示 第413号)第17条第3項に規定されている、国土地理院が定める新しい測量技術による測量方法に関するマニュアルの1つです。UAVを用いた公共測量を行う際には、本マニュアル(案)に従った作業を行うことで、精度の確保を確認するための資料として使用することができます。 国土地理院:公共測量における UAV の使用に関する安全基準(案) http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/doc/anzen_kijun_160330.pdf

調査においてドローンはどのように使えるのか

近年、ドローンはさまざまな分野で活用されるようになりました。「地形調査」も、ドローンの普及が急速に進んでいる分野の1つです。地形調査において役立つドローンの機能は、主に以下の3つがあります。

  • ・広範囲を効率的に飛行
  • ・写真測量
  • ・三次元測量

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

・広範囲を効率的に飛行

ドローンは無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれる機器の一種です。その名のとおり人は搭乗せず、地上で機体を操作して飛行させます。ある程度動きに自由がきき、広い範囲を効率的に飛ばすことができるので、カメラやレーザーを搭載すれば空撮やデータ収集がスムーズに行えます。

・写真測量

ドローンは、測量にも活かせます。

デジタルカメラを搭載したドローンで地表を空撮すれば、写真測量が可能です。上空から連続した航空写真を撮り、パソコンで画像データをつなぎ合わせることで、土地の測量が行える、というわけです。

・三次元測量

ドローンを利用して、対象物を三次元的に捉える測量もできます。具体的には、上空から大量撮影した画像を解析して3Dモデルを作成する方法や、レーザー測距装置を用いて測量する方法があります。

実際の事例

ドローンによる撮影や測量調査技術は、災害発生時や、火山口周辺の調査などに導入され始めています。実際にドローンが活用された事例をいくつかご紹介しましょう。

災害発生時の調査

人が立ち入れないような危険な場所でも、ドローンを使えば、安全かつ正確に状況把握が可能です。

例えば、2016年に発生した熊本地震においては、断層や土砂崩れ箇所の撮影にドローンが用いられています。

火山口周辺の調査

日本は活火山が多く、桜島や白根山の噴火といった災害が断続的に発生しており、安全対策が求められています。そんな中で、火山災害に対してもドローンを活用する動きが進んでいます。

・火山噴火時の土石流予測システム

東北大学、国際航業株式会社、株式会社イームズラボ、工学院大学の4者は、ドローンで遠隔データ収集を行うことにより、噴火に伴う土石流の被害予測を実現するシステムを開発しました。

長距離飛行できるドローンを飛ばし、地形や降灰厚などのデータを収集することによって、精度の高い土石流予測が可能になるというものです。

今までは、データを取りたくとも、噴火した火口付近に人が立ち入ることはできませんでしたが、ドローンであれば問題ありません。「危険区域にも入れる」というドローンの特性が生きた実例と言えるでしょう。

・火山災害対策ソリューション

警備ビジネスで有名なALSOKは、「火山災害対策ソリューション」というサービスを提供しています。スピーディや情報収集を行うため、画像提供や画像解析・加工にドローンを活用しようとするものです。衛星や航空機と組み合わせ、撮影データを3次元モデルやマップ作成に利用して、火山災害に対する対策をサポートしています。

・観測機器の設置

こちらは、外国の事例になります。英国ブリストル大学の研究チームによって、ドローンで運べる火山活動観測機器「dragon eggs」(竜の卵)を開発しました。火口付近に設置して、継続的に火山のデータを計測できるものです。

この「dragon eggs」を、火口付近まで運ぶのがドローンの役割です。人が近づけない危険な火口付近に機器を設置するには、ドローンが欠かせません。ドローンは運搬機能としても役立つ、という好例です。

ドローン調査にはどんなメリットが生まれるか

ドローンを地形調査に生かすメリットは、大きく以下の2つがあります。

・業務効率化

前述したとおり、ドローンは広域を効率的に空撮できるという特徴があります。人力での作業には、人の移動や機材設置などの手間がかかってきますが、ドローンであれば機体を飛ばして操作するだけです。 ヘリコプターやセスナ機での作業より安価かつ大幅な時間短縮になるほか、必要人員も少なくて済み、業務の効率化が進みます。

また、測量において、ドローンは有人のヘリコプターやセスナ機に比べて、費用が安く済むのもポイントです。セスナでの測量は100万円程度必要ですが、ドローンであれば、数十万円が相場となっているため、必要予算を抑えることができるでしょう。 なお、ドローンの機種や測量範囲によって料金は変わってくるため、正確な価格が知りたい場合は、各社に見積もりを依頼するのがおすすめです。

ドローンを活用する上での課題

土地調査においてメリットが多いドローン活用ですが、課題があることも抑えておきましょう。具体的には、以下の例が挙げられます。

  • 狭い敷地や平らな土地では割高
  • バッテリー交換が必要
  • ヘリやセスナよりスピードが遅い
  • 障害物がある場合は測量できない

1戸建て住宅程度の狭い土地や、凹凸のない平らな敷地の場合は、ドローンを使うよりも、地上測量したほうが安く済む場合が多いです。一方で、ドローンを数時間飛ばすような広大な土地の場合は、バッテリー交換が必要になるため、何度かドローンを離着陸させる手間が発生します。 また、ドローンは有人航空機よりもスピードが遅いため、よほど測量地が広い場合は、セスナのほうが早く済む可能性もあります。 土地の広さや調査に使える時間を考えて、適切にドローンを活用するといいでしょう。

なお、写真測量の場合、障害物があるとうまく測量できません。例えば、木々で地面が覆い隠されている場合、ドローンは地面を写せないということです。 障害物がある場合、コストはかかりますが、レーザー測量にすれば測量が可能になります。

まとめ

上空から自由に空撮できるドローンは、土地測量のほか、被災状況の把握や火山口調査などにも役立ちます。早いうちから導入を検討すれば、ビジネスの拡大やサービス改善に活かせるでしょう。

ドローンBizでは、ドローンに関する導入支援やシステム開発のご相談まで一貫して承っております。「ドローンを業務に使いたい」「プロのサポートが欲しい」などのご要望があれば、お気軽にお問い合わせください。