【ドローンでスマート林業】ドローンとレーザースキャンで樹種まで一発解析

林野庁は「平成 30年度スマート林業構築普及展開事業事例集・スマート林業を目指して」(平成31年3月)の中で、ICT等の先端技術を活用し、 生産性を向上させると共に、林業を魅⼒ある職場とし、担い手の確保・ 育成を進めると、スマート林業推進の目的を示しています。

なかでもスマート林業の基礎となるデジタルデータの取得ツールとして注目されているのがドローンです。ドローンが取得するデータが、林業の改革にどんな役割を果たすのか詳しく見ていきましょう。

例えば、空中写真を解析することで作物の健康状態の把握や収穫時期の判断に役立てたり、収穫量の推定に役立てたりすることができます。そうしたデータは、どのようにして収集するのか。また、それらデータを取得するために必要なドローンとはどんな機体なのか詳しく見ていきましょう。

ICT導入と林業の将来とは?

林業へのICT導入は、我が国の豊富な森林資源を効率的に伐採・輸送・製材し、国際競争力のある商品が提供できる業界へと改革するための第一歩と言えます。

収穫時期迎えた我が国の山林

我が国の森林面積は、国土面積の3分の2にあたる約2,500万haあり、そのうち約1,000万haが人工林です。森林資源は人工林を中心に蓄積が毎年約7千万m³増加し、2017年現在で約52億m³に達しています。しかも、人工林の半数が一般的な主伐期である50年生を超え、有効利用が待たれています。森林資源に関しては、我が国は、資源大国と言ってもよいかもしれません。

ICT導入で経費圧縮効果と商品競争力向上に期待

政府は、2018年6月15日に 「未来投資戦略2018」を閣議決定、その中でスマート農業の推進や生産流通構造の改革を取り上げています。ドローン関連で注目したいのが「林地台帳、境界情報等の基礎的情報やレーザー計測による高精度の資源情報の整備・公開、ドローンによる生育状況の把握等を進めるとともに、ICTを活用した機械の導入等による施業の効率化等を進める」と「マーケットインの発想に基づきバリューチェーンの全体最適化が進められることとなるよう、民間事業者が需給等のデータを共有する取組を促進する」の2点です。ドローンを中心としたさまざまなリモートセンシングで収集されたデジタルデータが、市場を変革し、林業を競争力ある産業に変貌させる明るい未来を示唆する指針と言えるでしょう。

もう始まっている林業の数値化

「平成 30 年度スマート林業構築普及展開事業事例」(林野庁)からドローン 関連の事例を抜粋、紹介しておきましょう。

ドローン導入が、効率化、収益アップの決め手に

「いしかわスマート林業推進協議会」は、施業集約化の 効率化・省力化を目的に、空中写真の立体画像から境界候補図を作成、ローンによる森林資源量調査を実施。境界明確化・施業提案にかかるコストを2割縮減 (83→61 千円/ha) 作業期間を2割縮減 (3.0→2.3 人・日/ha)する効率化に成功しています。「⻑野県 スマート林業タスクフォース NAGANO 」は、ドローン撮影写真を使用した単木ごとの樹種・樹高・胸高直径・位置を求める森林情報解析を実施。6.5haを対象としたもので、毎木調査では、32 人/日、110万円かかったものが、ドローン調査・解析では、6人/日程と、26人/日に省力化、経費も約70万円(ドローン撮影・オルソ化・解析)と約40万円の削減と、いずれもドローンの導入メリットが実感できる結果を残しています。

レーザースキャナ搭載ドローンの実力とは?

先に紹介した事例の通り、ドローンで取得したデジタルデータで、植林から製材まであらゆる段階での「見える化」が可能で、データの共有による業務効率が促進されます。

LiDARセンサーによる3次元解析・測量。山林資源の数値管理が可能に

中でも、LiDAR( Light Detection and Ranging )は、森林資源情報や地形情報を高精度で得ることができる優れたリモートセンシング技術です。レーザー光をレーダー波のように照射し、物体からの反射時間の差から3次元空間座標を取得します。自動車にレーザーを積載する方法や、歩行者がバックパックでレーザーを背負う方法は、狭い場所やきめ細かく調査するのに最適です。広範囲を短時間でカバーしたいなら航空機へのレーザー搭載が適切です。人の足では近づくことが困難な危険な場所であれば、低空から緻密に調査できるドローンへのレーザーの搭載が最適です。それぞれの方法で、取得できるデータの⾯積や点密度が異なるため、現場に応じた手法を組み合わせて利用することが効果を生みます。小回りのきくドローンへのレーザー搭載は、飛ばし方次第で地上レーザー同様、立木位置・胸高直径・樹高・曲がり・幹材積を計測でき、林内の立木を3次元で表現・計測することが可能です。

資材置き場での体積算出など出荷準備が効率的に

山林資源を数値化できれば、製造業と同様に在庫管理が可能になります。需要側の視点で行うマーケットインへと発想を変えるためには、商品である山林を知ることが必要です。当たり前のことだと言われそうですが、どれだけの山林管理者が、一本一本の樹種・高さ・太さ・生育場所まで把握しているでしょうか。

逆に、それらを熟知していれば、顧客のあらゆるニーズに対して円滑に応えることができ、ドローンならそうしたデータの多くを取得することが可能なのです。注文通りの樹木の所在がわかっていれば、スピーディーな伐採が可能になるばかりか、製材時に無駄な切断がなくなる、そのため積み出し量が減り輸送コストが軽減できる、などのメリットが考えられます。

林業の単木把握で高まる商品価値

レーザーセンシングでは、通常の写真測量では難しい、樹幹の形状(曲がりなど)までも、計測することができます。特殊な形状の在庫として記録しておけば、湾曲素材を必要とする特殊な注文にも即座に応えることができるでしょう。ビジネスチャンスを着実に掴めるだけでなく、ブランドイメージの向上にも貢献します。

弊社では、こうした多くのメリットを持つレーザーセンシングを、より簡便に導入できるよう研究を続けています。林業におけるIT(ドローン+センシング)を活用した生産管理の効率化を目的に、「どこに、どのくらいのサイズの木があるか」を管理できる仕組みを意識して2019年1月30日、テストを行いました。この実験でドローンに搭載したLiDARセンサーは、わずか約800gと小型軽量な汎用製品。取得したデータで森を3Dマップ化し、そのデータから木とそのサイズだけを取り出すことに成功しています。

見えてきた新しい林業の姿

ドローンが山林の上空を飛び交い、取得したデータをクラウドで共有、顧客は電気製品を購入するように手元のタブレットで、必要な長さや太さ、樹種などを指定して注文すれば、直ぐに伐採・製材・配送が始まる、そんな新しい林業の姿が直ぐそこまで来ています。ただ、導入効果を高めるためには、自社のフィールドに応じた支援ソフト選びが不可欠です。弊社では、そうした要望にきめ細かく応えることが可能です。