【ドローンを用いたインフラ点検】業務効率化を図る未来像とは?

2019年3月、定期点検要領の改訂で、橋梁およびトンネルの点検作業に関して、部分的ではあるもののドローンの利用が公式に認められました。今後、全面的な運用が可能になれば、これまで足場を組まなくてはならなかった高所でも、安全な地上からスピーディーに調査を進めることができるようになります。近い将来、インフラの設備点検でドローン利用は常識となることでしょう。

今回は、ドローンでのインフラ点検の課題と現状、そして、今後この分野で予測される未来について解説していきます。

老朽化で増え続ける点検業務

全国にある道路橋 (約73万本) の25%が、建設後50年を経過しています(2018年時点)。10年後にはその比率が50%となり、点検需要が確実に急増します。今後、点検業務の市場はどうなっていくのでしょうか。

点検業務は人手不足に陥っている

全国73万橋のうち、約7割の48万橋は市町村の管理です。市町村の土木技術者は、平成17年を100として10年間で約1割減っており、橋梁保全業務に携わっている土木技術者が存在しない自治体は町の約3割、村の約6割にのぼっています。

そのため市町村で管理する橋梁では、点検修理が追いつかない影響で通行規制などが急増し、平成20年からの7年間で2.5倍にも増えています。5年に一度の定期点検が義務づけられている中で、土木技術者の人手不足が深刻な問題と言えるでしょう。

ドローン導入で人手不足解消・効率化の決め手に

これまでの人手不足を改善するために、「ドローン利用」が期待されています。従来の橋梁点検では人が接近目視亀裂や破断などを確認しておりましたが、安全性・効率化の面からドローン点検を取り入れる企業が増えてきています。

ドローンは自律性が高く、検査対象物に接近しながら、広範囲を迅速かつ容易に観察することができます。ドローンはすでに「公共測量」で利用が認められており、中堅クラスのドローンでも、4K高精細ビデオカメラが搭載されています。これを用いて、リアルタイムでの損傷状況の確認や写真や動画で記録を残したり、ペイロードのあるドローンなら、レーザースキャナやサーモグラフィーなど多様なセンサーが搭載でき、損傷形状のより詳しい測定が可能です。

また、ドローンは直接デジタルデータが取得できるため、解析ソフトとの連動で破損箇所の分析や可視化、データの共有や保存が迅速かつ容易になり、人手不足の解消だけでなく、作業の効率化にも一役買ってくれる可能性があります。

 

インフラ点検業全体の進歩

インフラ点検は、近接目視を原則としてきたため、ドローンなどICTの導入が遅れていました。しかし、i-Constructionを中心とした建設業界のスマート化の中で、インフラ点検現場でもドローン運用に向けた動きが見えてきたといえるでしょう。

規制緩和でドローン利用を国が後押し

2019年春、インフラ点検の基礎となる「道路橋定期点検要領」と「道路トンネル定期点検要領」が改定され、部分的ではあるものの、点検業務でのドローンを含む開発された新技術の利用が認められました。同時に、新技術を利用するための手引きとして「新技術利用のガイドライン(案)」も公開されました。

これは、ドローンなど新技術を利用したい点検会社が、「点検支援技術性能カタログ(案)」に掲載されたスペックを参考に支援技術使用計画を立て、点検業務発注者へ協議することで点検業務のスマート化を推進する施策といえるでしょう。

進むロボットの導入

ロボットなど新技術の導入を可能としたインフラの定期点検要領の改定を受けて、地方自治体で、ドローンの運用実験が始まっています。

ドローン運用に積極的な千葉県君津市は、令和2年3月31日まで、ドローンを活用して橋梁点検の実証実験を行います。市職員がドローンを操縦し、映像・画像を撮影することによる橋梁点検で、対象は市内227橋のうち20橋程度(道路・線路を跨いでいる橋梁を除く)です。内容は撮影手法の検討と映像分析、当該手法の導入が可能な橋梁の選定、映像・画像データの保管等を行う予定で、実証結果を踏まえて令和2年度から本格運用する予定になっています。

進むドローンの性能向上

ドローンが活躍する現場は、山間部の渓谷や幅広い河川など、突然の気流の変化や霧の発生など、厳しい環境下となると考えられます。それだけに、特に安定した飛行性能や防水性能が求められるのです。また、調査機器も目的に合わせて積み替えられるペイロードであることが望まれます。

例えば、DJI社製のMatrice 200シリーズはスペックによると、17インチプロペラと高性能モーターの組み合わせで、最大風圧抵抗12 m/sの強風下でも飛行可能です。また、バッテリー2台搭載でフライト時間38分にまで伸ばしています。さらに、自動的バッテリー加温機構で稼働環境温度(-20~45℃)を広げている他、保護等級IP43と防滴性能を高めています。

ペイロードは最大2kgとなっており、通常カメラと赤外線カメラを同時に利用できるデュアルジンバルや、橋梁下部の調査などに必要な上方ジンバルも取り付け可能です。映像・画像解析利用の進展とともに、悪天候に対応するドローンの機体が今後ますます登場することでしょう。

インフラ点検のドローン利用は今後急速に進む

2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略 2018」の中で、次世代インフラ・メンテナンス・システムの構築等インフラ管理の高度化に関して、

「国内の重要インフラ・老朽化インフラの点検・診断等の業務において、一定の技術水準を満たしたロボットやセンサー等の新技術等を導入している施設管理者の割合を、2020 年頃までには 20%、2030 年までには 100%とする」

をKPIとして掲げています。さらに、「建設プロセスにICTの全面的な活用等を推進するi-Constructionの進化に向け、来年度までに橋梁・トンネル・ダム工事や維持管理、建築分野を含む全てのプロセスに対象を拡大する」としています。こうした背景のもと、インフラ点検におけるドローン利用は、 急速に進むでしょう。

最新の情報をチェックして、安全で効率的な現場を目指してみてはいかがでしょうか。

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