ドローンで撮影した映像のプライバシー

ドローンにカメラを搭載することで、これまで難しかった高所の映像などを容易に空撮できるようになりました。ビジネスにおいては、建築現場等、あらかじめ許可を得た敷地内での飛行が前提かと思いますが、市街地を飛行する場合、個人の住宅や部屋などが映り込む可能性があります。そうして撮影した映像をインターネット等で公開した場合、プライバシーや肖像権等の権利を侵害する恐れがあります。

2015年4月22日に首相官邸へドローンが侵入した事件以降、政府関係者にも一層ドローンが注目されるようになりました。その 流れを受けてか、2015年4月28日に総務省から以下の注意喚起が行われています。

 ドローンを用いて撮影した画像・映像をインターネット上で公開する場合には、被撮影者のプライバシー及び肖像権、並びに個人情報の保護に配慮するようお願いいたします。
 具体的には、撮影の際には被撮影者の同意を取ることを前提としつつ、同意を取ることが困難な場合には、以下のような措置を取るようお願いいたします。

  1. 人の顔や車のナンバープレート等プライバシー侵害の可能性がある撮影映像等に対しては、ぼかしを入れるなどの配慮をすること
  2. 特に、ドローンによる撮影映像等をインターネット上で公開できるサービスを提供する電気通信事業者においては、削除依頼に対する体制を整備すること

撮影映像へのぼかし加工は、動画編集ソフトを使用すれば比較的簡単に行えます。ただし、時間のかかる手作業ですので量が多い場合は専門の業者に委託した方が安くあがる場合もあります(内容にもよりますが、1時間の映像加工なら4万円前後)。最近はクラウドソーシングなど比較的安価な委託方法もありますので、個人情報の取扱に配慮した上での検討をお勧めいたします。

ぼかし加工の例(白丸部分)
ぼかし加工の例(白丸部分)

総務省の注意喚起では、人の顔、ナンバープレートや表札、住居の外観や洗濯物等の私物も法的保護の対象になりうるとしており、Googleのストリートビューが行っているように映像へのぼかし加工作業を完全に自動化することは困難です。ただし、人の顔に関しては『顔認識』技術によりある程度自動的に検出が可能ですので、ぼかし加工まで自動的に行うシステムの開発も可能です。ビジネス用途でこうした加工作業が欠かせない場合は、システムの開発・導入を検討されてはいかがでしょうか。

映像中に人物の顔があるかを自動的に認識する技術

顔認識の歴史は意外に古く、1960年代からコンピュータを使った研究が行われています。今日まで様々な技術が開発され、真正面から捉えた顔写真なら比較的正確に認識するようになりました。ただし、横顔やメガネや帽子などを身につけた写真、顔に手をあてている写真から顔を認識するのは難しいため、認識精度を高めるにはある程度の制限や工夫が必要となります。システム化にあたっては、『どういう状況で撮影した映像から顔認識するのか』『「人の顔」と分かればよいのか「誰の顔」かまで分かる必要があるか』など、詳細な検討が欠かせません。

顔認識は様々な計算を必要としますので、これまでは特定の環境専用のシステムや機材として提供されてきました。Webブラウザやパソコンの性能が向上したことで、現在はWebページ上でもある程度高速に顔認識を行えるようになりました。以下は、jQuery Face Detection Pluginというライブラリを使用し、指定した画像を顔認識して表示させる例です。

顔認識のサンプル
選択した写真
顔認識結果

顔認識は、使用する数学の理論を変えたり、用途に応じた調整を行うことで精度を高めることができます。株式会社想画では、ドローンや顔認識技術を用いたシステムの開発も得意としておりますので、お気軽にご相談ください。