他人の土地を、持ち主の承諾なく通るのは違法です。では、他人の土地の上空でドローンを飛ばすのは法律上、問題ないでしょうか?

私有地

民法における「私有地」

平たくいえば「土地の上空もその土地の権利者のものか」ということですが、民法207条には以下のように規定されているため、土地の上空にも権利は及びます。

土地の所有権は,法令の制限内において,その土地の上下に及ぶ。

ただし、上空何mまでという具体的な規定ではないため、他の法令も参考に検討する必要があります。

土地所有権の高度上限は,航空法の最低安全高度=建造物の高さ+300m

国際的に高度100km以上の空間は,『宇宙』として,各国の主権(所有権)が及ばないとされています(カーマン・ライン)。
一方,日本の法律上,私権としての土地所有権の『上空の限界(高さ)』をストレートに規定した法令はありません。
この点,航空法の規定がヒントになります。

<航空法による最低安全高度>

最も高い障害物(建物等)の上端から300mの高度 ※航空法81条,航空法施行規則174条1号イ ここで,一般的に,航空機が飛行する場合,『直下部分の土地所有者の承諾』は不要と考えられています。現実的な不利益がないからです。
引用: みずほ中央法律事務所

航空法を参考にした場合、上空300mまでは土地所有権が及ぶと考えられるため、他人の土地の上空でドローンを飛ばしたり、上空を通過する際はその土地の権利者の承諾が必要です。

また、私有地以外に公道など道路の上を飛行させる際、自動車と同じ高さ(路面から1m以内程度)を飛行し道路交通法77条に該当するとみなされた場合は所轄警察署長の許可(いわゆる道路使用許可)が必要になります。

許可が必要な場所での飛行は専門家に相談

このように現状の法律を考えると、誰もが自由にドローンを飛ばせる状況とはいえません。また実際問題として、何の制約もなく飛行物体が飛び回る日常というのも、危なすぎて現実的ではないと思います。今後、ドローンに関する法整備が進み、規制緩和が図られるとしても、許可なく飛行できる場所は限られるでしょう。

ただし、ビジネスとして有用なのであれば許可をとって飛行させれば良いのです。建築現場の測量に使うのであれば、今でも工事のために各種許可を取っているはずですし、自社の工場や作業現場の上空を飛行させるだけなら自分自身が権利者でしょう。

ドローンを飛ばすことが目的ではなく、今現在も行っている高所作業をドローンに行わせることが目的であれば、現在の法律下でも多くのビジネスにドローンを活用できます。

実際にどのような法律が関係し、事前の許可が必要になるかは専門家に相談することで明らかになります。法律を守りながら、ドローンで自社の事業を加速させてはいかがでしょう。

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