ドローンの飛行、となると屋外で飛行させているイメージを持たれる方も多いかと思います。いくつかの課題はありますが、屋内でもドローンを飛行させることは可能です。

今回は屋内での飛行についての調査および調査から得た気づきを紹介いたします。

飛行概要

  • 飛行日 / 2016年6月15日
  • 飛行機体 / Phantom4
  • 飛行目的 / 現地調査、屋内飛行についての調査
  • 許可申請 / 不要

調査目的

ドローンを飛行させる場合には、事故やトラブルを避けるために、飛行する場所の状況をよく把握しておく必要があります。

今回は飛行条件に制約のある屋内での撮影が可能であるかどうかを確認するために、現地調査および屋内飛行についての調査を実施しました。

飛行の様子 撮影映像

調査内容

現地での調査事項は以下の通りです。

  • 離着陸地点
  • 飛行範囲
  • 飛行の障害となりうるものの有無
  • GPS受信状況
  • 電波障害の有無
  • ホバリングの安定感
  • ビジョンポジショニングシステムの動作

今回調査を行った施設では、天井にスプリンクラーが取り付けられていました。 万が一衝突してしまった際のリスクなどを考慮し、事故を未然に防ぐために以下のようなワイヤーを機体に取り付けました。

ワイヤーの取り付け ワイヤーを取り付けたドローン

調査結果

屋内ということもあり、GPSが受信されないことが確認できました。
GPSが受信できない状況でも、超音波と画像データを使用して機体の現在位置を維持するビジョンポジショニングシステムを搭載したPhantom4であれば安定した飛行が可能です。

しかしイベントの演出のために蛍光灯を消灯し、ブラックライトのみを点灯する今回の施設ではビジョンポジショニングシステムが無効となることが分かりました。
蛍光灯を消灯した事による「照度不足」が原因です。

ビジョンポジショニングシステムが無効となる条件の一覧は以下の通りです。

  • モノクロ(黒一色、白一色、赤一色、緑一色など)の地表面上を飛行する場合。
  • 反射率が高い地表面上を飛行する場合。
  • 高速(高度 2 メートルを 10 m/s 以上、または高度 1 メートルを 5 m/s 以上)で飛行する場合。
  • 水面または透明な地表面上を飛行する場合。
  • 動く面または物体上を飛行する場合。
  • 照明が頻繁に、または急激に変わる領域を飛行する場合。
  • 非常に暗い(10 ルクス未満)または非常に明るい(100,000 ルクス超)地表面上を飛行する場合。
  • 音波を吸収する(厚いカーペットなど)地表面上を飛行する場合。
  • はっきりした模様や構造のない地表面上を飛行する場合。
  • 同じ模様や構造が繰り返し現れる(同じデザインのタイルなど)地表面上を飛行する場合。
引用: Phantom4 マニュアルv1.2 (p.22)|DJI

蛍光灯をつけて再度飛行テストを行った結果、非常に安定したホバリングができました。
蛍光灯を点灯したことにより、ビジョンポジショニングシステムが有効となりました。

蛍光灯の点灯時と消灯時にそれぞれ撮影した映像を以下にアップします。

  
  

まとめ

弊社としても初となる屋内での飛行でしたが、今回の調査から得られた大きな収穫は以下の2点です。

  • 暗所ではビジョンポジショニングシステムが無効となるため、暗所の屋内での飛行は困難であること
  • ドローンにワイヤーを取り付けることが、事故防止に有効であること

GPSが受信できず、ビジョンポジショニングシステムも無効の状況となると、完全にマニュアル状態での操作が必要となります。非常に高度な操縦スキルが必要となる上に、機体の制御を補助するシステムが作動していないことにより事故の発生率も非常に高くなります。このような状況での飛行はまず中止したほうが良いでしょう。

またワイヤーを取り付けた飛行の実施も初めて行いましたが、今回のように飛行条件に制約がある場合には非常に役立ちます。カラビナやワイヤー自体はホームセンターで購入することができますが、機体によっては取り付けが難しい可能性もあります。また取り付ける場所によっては飛行の際にバランスを崩す恐れなどもありますので、十分ご注意ください。

ドローンbizではGPSを使わない屋内自律飛行の技術の開発実績などがあります。
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